競技は2本〜4本滑走した合計タイムで勝敗が決まります。
なぜ2~4本と幅があるかというと、スケルトンのレースにはオリンピックをはじめ、
世界選手権、ワールドカップ、ジュニア世界選手権など何種類かの大会やツアーがあります。
それにより規定が異なることと、天候など不可抗力により4本の予定が3本、2本になるなどの状況もあります。
いずれも大会役員からの指示となります。
大会前 練習というものがあります。
これは出場選手は決められた本数を転倒せずにゴールすれば本戦に出場することができますので、
タイム等は影響しません。
この期間中は、別の時間帯であっても練習はできません。
大会により滑走本数が違いますが、4本か2本が通常となりますので、2パターンでご説明します。
【4本の場合】
1本目 1番~最後まで
2本目 1本目で20位から1位 そのあと21位~ラストまで
3本目 2本目終了時点の1位~ラストまで
4本目 20位から1位まで 21位以降は4本目に進めず、3本目終了までの順位となります。
【2本の場合】
1本目 1番~最後まで
2本目 20位~1位まで 21位以降は2本目に進めず、1本目終了までの順位となります。
いずれも1本目の滑走順は前大会までのランキングなどにより、決められた方法に従って抽選などが行われます。
そりは決められた場所に決められた時間までに置かなければいけません。
そりの整備等、そりに触ることが許される時間も決まっていますので、
戦術としてランナー(滑走部のパーツ)の選択をし、整備を終えなければいけません。と同時に、
他の選手がどんな仕様にしているかなどを各国がチェックしたりと、少しピリッとした空気が漂います。
試走です。コースの途中にいくつか設置してある中間タイムを計測する機器や、
コース状況の最終チェックが目的となります。
とくに雪が降っている場合はうまくタイムが計測できないなどのハプニングも起こりやすくなるため、
審判にとっては注意が必要な場面です。
選手は、このときスタートの溝の状況や、氷の削り具合でそりの動向が決まることがある為、
そういった当日のコースの様子をチェックをします。
選手の用具の条件を合わせるため、直前にランナー(滑走部のパーツ)とスパイクを審判に見せます。
ランナーは温度を測り、氷の温度との差が大きい場合はアイスベットといって、氷の上に置いてランナーの温度を下げるようにします。
スタート順が来たら、コースが完全に誰も立ち入っていない状態を確認の上、選手に合図のブザーのような音が鳴ります。
その音から30秒以内に決められたラインを通過しないといけませんが、自分のタイミングでスタートを切ることができます。
本当のスタートはスタート板から15メートル先に光電管があり、選手が通過するとタイム計測が始まります。
そこからコース途中に設置されているポイントで中間タイムを計測し、随時放送で中継されています。
ゴールタイムは100分の1秒まで計測され、2本〜4本(大会の規定による)の合計タイムで順位が決まります。
100分の1秒は距離にするとたった数センチの差です。その中での戦いになりますので、
信じられない話ですが、同タイムもあり得ます。その場合は仲良く同順位ということになります。
ゴールラインを通過するとヘルメットの先端でタイムが計測されます。
その後はブレーキゾーンといって、登り坂になりますので
そのままでも減速していくのですが、
氷のコンディションが良いとなかなか止まりません。
その場合は、手の平やつま先をひきずって減速させたり、
ゴール先にクッションのようなものが置いてありますので、それを捕まえて止まるようにします。
その逆もあり、降雪の中でのレースだと雪が積もっていたり、
ゴールタイムが遅かったりするとゴールしてからの登り坂の途中で止まってしまうこともあります。
その場合は約40キロもあるそりをもって、歩いたり、押したりして早くコースから出なければいけません。
ゴールしてからすぐに、そりと一緒に乗ることができる、力士もびっくりな大きな体重計があります。
そこでウエイトオーバーしていないか、規定に反していないかなどを調べられます。
雪などがついていると、重くなってしまうので、払ったりしてから乗ります。
全員の1本目の滑走が終わると順位やタイムが公表され、
同時に2本目の滑走順が公表されますので、2本目に向けた準備をします。
そりの整備できる時間、持ち込める工具も決まっていますので注意が必要です。
整備ができたら、各自のタイミングで過ごします。
そりの重量と選手の重量を足して、男子は115キロ、女子は92キロ以下にしなければならないというのが
基本となります。ただし、その規定を守るには少々無理があるケースもあります。
例えば男子で体重が115キロ以上、女子なら体重が92キロあったらどうするのか?
そりは鉄製です。どんなに軽く作ろうとしても限界がでてしまいます。
逆に男子で体重が50キロの選手なら、総重量115キロー体重50キロ=そり65キロ、
女子で体重が40キロの選手なら、総重量92キロ−体重40キロ=そり52キロということになります。
そりが重くて、体重の軽い選手は押して走ることが難しそうですね。でもそのケースも全然ありえますよね?
その為、このような場合にも対応できるようになっています。

男子はソリを33キロ、女子はソリを29キロに設定しておけば、
総重量上限の男子115キロ、女子92キロをオーバーしてもよいことになっています。
男子なら体重が82キロ以上の選手はソリを33キロに設定すればよいのです。
体重が100キロならば、総重量は133キロになってしまいますが、
それでもルール上問題なしということになりますので、115キロに設定されている選手よりもお得ですね。
男子はソリを43キロ、女子はソリを35キロ以下にしなければいけません。
男子なら体重が72キロで、72+43=総重量が115キロとなり、ちょうどになりますが、
たとえば、体重が60キロの場合は、本来は115キロ−60キロ=55キロのそりに乗りたいところですが、
ソリは43キロ以内となりますので、総重量は103キロとなります。
女子は体重が45キロであれば、45キロ+35キロ=総重量は80キロとなります。
男子は総重量115キロ、女子は92キロまで設定して良いのに、
それ以下に設定しなければならない選手は不利だといえますね。
なぜなら、たとえば同じ高さから、同じ大きさの石ころと風船を落としたらどちらが速く地面に落ちるでしょうか?
当然石ころですよね?物理的には重いほうが早くゴールできるのです。
このように、体重調整も必要な要素になってきます。
では重ければよいのか?というと、
スタート時の初速スピードも重要ですので、
速く走れるマッチョが理想ってことになりますね。
あなたがもし小柄だからといって望みを捨てることはありません。
これまでワールドカップなどの国際大会で優勝した選手でも、
必ずしも、走れるマッチョが強いわけではないという事実があるからです。
国際的には小柄といわれる日本人選手でも、ワールドカップで優勝した選手もいます。
体重が軽いために、重いそりを押さなければならず、スタートが遅くても、
その後ライン取りが群を抜いて上手かったり、
体重が軽くても、スタートが誰よりも速く、
そりに無駄な摩擦をかけずに滑走すれば減速しませんので、当然勝機はあります。
いろいろなタイプの選手がいますので、身体的なことだけでは可能性は決まらないのです。
いかがでしょうか?
あなたが選手になったら、何キロのそりに乗り、どんな作戦で勝ちにいきますか?